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東京高等裁判所 平成5年(行コ)195号 判決

控訴人(被告) 水野正義

被控訴人(原告) 福島満

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人の請求を棄却する。

3  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨

第二当事者の主張

次に訂正するほかは、原判決の事実摘示のとおりであるからこれを引用する。

一  原判決二丁表一〇行目の「支出した。」の次に「(以下「本件支出」という。)」を加える。

二  同丁裏九行目の「本件寄付」を「本件支出」に、同三丁裏六行目の「六月一五日付」を「六月一〇日付け」に、同四丁裏一〇行目から末行にかけての「地方自治法一条の二」を「地方自治法二条」にそれぞれ改める。

三  同五丁表七行目の「あったであるから、」から九行目までを次のとおり改める。

「あったのである。したがって、地方財政の健全性が害されることのない小規模の寄付金等で、かつ、公益上又は社会通念上必要な支出は、同法制定当時及びその後の当分の間はともかくも、制定当時から三十有余年を経て、同法が死文化している今日においては、しかも、地方財政が健全化している今日において、地方公共団体の自発的寄付までも一律に禁止することは、かえって、憲法の保障する財政自治権を侵害するおそれがあることにかんがみ、憲法の保障する財政自治権の趣旨に合致するよう、地財再建法二四条二項の規定を限定的に解釈しなければならないことからすれば、本件寄付は、同項の規制の対象とはならないと解すべきである。」

三  同五丁裏二行目の「過ぎない。」の次に次のとおり加える。

「また、小川町は、同年度の右予算の決算において金二億一六三七万六二九三円の剰余金を生じたものである。」

第三証拠関係〈省略〉

理由

一  請求原因1ないし3及び5記載の事実は、当事者間に争いがない。

二  そこで、本件支出が違法であるかどうかについて判断する。

本件支出は、小川町が栃木県警に対し、本件ミニパトカーを寄付する目的でなされたこと、小川町は、栃木県警に対し、本件ミニパトカーの寄付を申し入れたが、同県警からこれを拒否されたため、一旦馬頭地区交通安全協会に寄付し、同協会から同県警に寄付されたことは、当事者間に争いがない。

ところで、地方財政法は、地方公共団体の財政(以下「地方財政」という。)の運営、国の財政と地方財政との関係等に関する基本原則を定めるものである(同法一条)が、同法二条において、地方財政運営の基本指針を示した上で、同法二八条の二において、地方公共団体相互間における経費の負担関係について、「地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。」旨を規定している。この規定は、地方公共団体相互間(特に都道府県と市町村間)の財政秩序に関する基本原則を宣明したものというべきものであり、この規定により、法定された経費の負担区分を実質的にみだすようなことは、それが直接であれ、又は間接であれ、いかなる形式によるものであっても、禁止されていると解される(この意味では、同法四条の五は、地方公共団体に関する限り、いわば確認的な規定と見ることができる。)。

したがって、他の地方公共団体に対する負担金等の支出がたとえ任意自発的に行われるものであっても、それが負担区分をみだす結果となる場合には、同法二八条の二の規定により禁止されるものと解するべきである(なお、地財再建法二四条二項は、地方公共団体が国及び公団等に対して寄付金を支出することを禁止しているが、他の地方公共団体に対する寄付金の支出は、地方財政法二八条の二により規制されることになる。)。

そして、警察の管理及び運営は、都道府県の所掌事務とされ(地方自治法二条六項二号、警察法第四章)、その経費については警察法三七条により、政令で定めるところにより国庫が支弁するものを除き、都道府県がこれを支弁するものとされている(ちなみに、本件で問題となっている警察用車両の購入に必要な経費は、警察法施行令二条六号により国庫が支弁するものと定められている。)。

そうだとすると、小川町が栃木県に対して本件ミニパトカーを寄付することは、法令で定められた地方公共団体間の経費の負担区分をみだす結果となることが明らかであるから、右寄付行為は、地方財政法二八条の二の規定に違反するといわざるをえないし、小川町が馬頭地区交通安全協会を経由して栃木県に対して本件ミニパトカーを寄付することも、法定された経費の負担区分を間接的にみだすこととなるから、同様に右規定に違反するというべきである。

本件支出が右寄付を目的としてなされたことは、当事者間に争いがないから、結局のところ、本件支出は、その目的の違法のゆえに、違法性の評価を免れ得ないものというほかない。

三  次に、控訴人は、本件支出は、小川町の平成三年度歳入歳出一般会計予算の決算総額の〇・〇七八パーセントを占めるにすぎず、その占める割合が極めて微小であり、かつ、小川町においては、同年度の右予算の決算において金二億円を超える剰余金が生じたことからすれば、小川町の財政の健全性をいささかも害するものではない上、小川町町民の生命、身体を守るという公益目的を達するためにやむを得ずなされたものであるから、違法性が阻却されると主張する。

なるほど、乙第一号証によれば、本件支出の小川町の平成三年度歳入歳出一般会計予算の決算総額に占める割合が〇・〇七八パーセントにすぎず、かつ、小川町においては、同年度の右予算の決算において金二億円を超える剰余金が生じた事実を認めることができる。

しかしながら、本件支出が法令で定められた地方公共団体間の経費の負担区分をみだす結果を生じることは、前叙のとおりであり、しかも、地方財政法二八条の二の規定が地方財政秩序の基本原則を宣明していること(同規定が単なる訓示規定でないことは、同規定の性格上明らかである。)にかんがみれば、控訴人主張の事由をもって違法性の阻却を認めることは相当でないといわなければならない。

四  以上のとおり、本件支出は違法な公金の支出といわざるを得ないから、これにより小川町は、右と同額の損害を被ったものと認められる。

したがって、小川町の住民である被控訴人が小川町に代位して行う同町長である控訴人に対する右損害賠償請求はすべて理由がある。

五  よって、これと同旨の原判決は正当であり、本件控訴は理由がないから棄却し、控訴費用について、行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 山下薫 並木茂 高柳輝雄)

原審判決の主文、事実及び理由

主文

一 被告は、小川町に対し、二一八万九五二五円及びこれに対する平成四年七月一七日から支払済まで年五分の割合による金員を支払え。

二 訴訟費用は被告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一 請求の趣旨

主文同旨

二 請求の趣旨に対する答弁

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

第二当事者の主張

一 請求原因

1 当事者

原告は、肩書地に居住する小川町の住民であり、被告は小川町町長である。

2 本件ミニパトカーの寄付

小川町は、ミニパトカー二台を購入し、同町内にある栃木県警察馬頭警察署小川警察官駐在所及び同警察署三輪警察官駐在所にそれぞれ一台を寄付することを発案し、平成三年度一般会計予算に庁用車の一部として購入費を計上し、同年三月の町議会で予算の承認を経て、ミニパトカー用車両二台を購入し、そのために購入代金二一〇万三五〇二円と諸手続の費用八万六〇二三円を支出した。

小川町は、右ミニパトカーの寄付を馬頭警察署を通じて栃木県警に申し入れたところ、地方自治体からの寄付は受けられないとして拒否されたために、一旦馬頭地区安全協会に寄付し、同協会を通じて栃木県警に寄付された。

同四年二月二八日に右ミニパトカーは前記各警察官駐在所に引き渡された。

3 被告の権限

地方公共団体の支出は、その長の命令がなければできず(地方自治法二三二条の四第一項)、長は、法令上本来的支出権限を有し、また、予算の執行権(同法一四九条二号)、財産の取得・管理・処分権限も有している(同条六号)ことから、寄付等にかかる支出の責任を負うものである。

4 本件寄付の違法性

地方財政法二八条の二は、「地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。」と定め、地方財政再建促進特別措置法(以下「地財再建法」という。)二四条二項は、地方公共団体が、国等に対し、寄付金その他これに類する支出をすることを禁止している。

都道府県警察が必要とする警察用車両の整備に関する経費は、政令で定めるものは国庫が負担し、その余は当該都道府県が負担するものとされている(警察法三七条)。

したがって、国と地方公共団体あるいは地方公共団体間において、間接的な負担転嫁が禁止されていることはもちろん、自発的な任意寄付をも禁止しているのであるから、小川町がミニパトカーを栃木県警に寄付した行為は、違法であり、右寄付のためにミニパトカーを購入することも違法となる。

5 住民監査請求

原告は、平成四年四月一三日、小川町監査委員に対し、本件ミニパトカーの購入及び寄付が地方財政法二八条の二に違反し、そのために支出した金二一四万円の返還のほか、関係職員に対する必要な措置を求めた。これに対し、同監査委員から、同年六月一五日付で、不当な支出とは認められない旨の通知がなされた。

6 しかしながら、原告は、右監査結果に不服があるから、地方自治法二四二条の二に基づき、被告に対し、小川町に損害金二一八万九五二五円及びこれに対する本件訴状送達の日の翌日である平成四年七月一七日から支払済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払うことを求める。

二 請求原因に対する認否

1 請求原因1ないし3の事実は認める。

2 請求原因4のうち、地方財政法、地財再建法及び警察法に同項記載の規定があることは認めるが、本件寄付及びそのためのミニパトカー購入が違法であるとの主張は争う。

3 請求原因5の事実は認める。

三 被告の主張

1 本件寄付が地方財政法二八条の二や地財再建法二四条二項に反するとしても、これらの規定は訓示規定であるから、その違法は取消の対象とならない。

2 被告及び小川町は、ミニパトカーを馬頭地区安全協会に寄付したのであるから、地方財政法違反等の問題は生じない。

3(一) 小川町は、国道二九三号線が町の中央部を東西に、国道二九四号線が町の東部を南北に走っており、これらが市街地において交差しているが、その交通量は年々増加し、平成二年一二月には、国道二九三号線(小川町と南那須町との境界付近)で一二時間当たり五七五九台、国道二九四号線(小川町と烏山町との境界付近)で一二時間当たり三八三四台の車両が通行していた。

このような交通量の増加に伴って、交通事故も平成元年と同二年にそれぞれ二件の死亡事故が発生し、平成元年度は人口一〇万人当たりの交通死亡事故数が栃木県内でワースト1となった。

交通安全の保持及び防犯は地方公共団体の公共事務に属する(地方自治法一条の二第三項八号)ところ、小川町内には馬頭警察署の駐在所として小川警察官駐在所及び三輪警察官駐在所があって、各駐在所には自転車とバイクが配備されていたのみであったから、交通事故の増加や防犯に適切に対処するためにはミニパトカー程度の装備は必要と判断し、これを各駐在所に配備してもらった。

(二) 地財再建法二四条二項の立法目的は、国等と地方公共団体との間の経費負担区分をみだすことによって地方財政の健全性が害されることを防止することにあったであるから、寄付の額が小規模で公益上又は社会通念上必要なものについては、地方財政の健全性を害するものではなく、規制の対象とならないと解される。

本件ミニパトカー購入に要した費用は二一八万九五二五円であるが、これは小川町の平成三年度歳入歳出一般会計予算総額(二九億六一二四万六〇〇〇円)の〇・〇七四パーセントであり、同年度決算総額(二七億九八八七万五一八四円)の〇・〇七八パーセントに過ぎない。

(三) このように、本件寄付は、小川町の公益上必要なものであり、また、その金額において小川町の財政に占める割合は極めて僅少であって小川町の財政の健全性が害されることはないのであるから、地財再建法二四条二項等に違反しない。

4 仮に、本件寄付が地財再建法二四条二項等に反するとしても、その額が僅少であることや本件寄付が小川町の公益に資するものであることからすれば、その違法性は阻却される。

四 被告の主張に対する反論

1 地方財政法等の規定は、違反の場合の是正措置や要件等から訓示規定ではない。

2 本件寄付の事実経過をみれば、寄付の相手方は栃木県というべきである。

3(一) 被告の主張する交通事故防止や防犯等の必要性は抽象的なものであり、ミニパトカーが具体的に犯人追跡や交通事故発生後の処理等に活用されることはなく、現に本件ミニパトカーはほとんど利用されず放置されている。

また、小川町は馬頭警察署を通じて栃木県警にミニパトカーの配備を要請したにもかかわらず、県警本部において予算化が難しいとして実現しなかったのであるから、栃木県警は小川町にミニパトカーを配備する必要性が乏しいと判断していたものというべきである。

(二) 地財再建法二四条二項は、同項但書に当たる場合を除き、強制的であるか任意的であるかを問わず、当該公共団体に必要であるか否かに関わりなく、地方公共団体による国(あるいは他の地方公共団体)に対する寄付を全て禁止している。

本件寄付の額は必ずしも僅少ではないが、そもそも当該寄付が小川町にとって有用であることやその額が僅少であることは本件寄付を適法とする根拠とはならず、また、違法性を阻却する事由とはならない。

第三証拠〈省略〉

理由

一 請求原因1ないし3及び5の事実は当事者間に争いがない。

二 本件寄付の違法性について

1(一) 地方財政法は、地方財政の健全性を確保し、地方自治の発達に資することを目的として、地方財政の運営、国の財政と地方財政の関係等に関する基本原則を定めるものであるが(同法一条)、同法二八条の二は、「地方公共団体は、法令の規定に基づき経費の負担区分が定められている事務について、他の地方公共団体に対し、当該事務の処理に要する経費の負担を転嫁し、その他地方公共団体相互の間における経費の負担区分をみだすようなことをしてはならない。」と定めて、地方公共団体間の財政秩序を適正に確立し、総体としての地方財政の健全化を目指している。

なお、被告は右規定が訓示規定であると主張するが、その目的や違反に対する措置(自治大臣は、地方自治法二四五条一、四項に基づく助言・勧告や、同法二四六条の二に基づき内閣総理大臣に対して違反の是正等の措置を求める請求ができる。)等からすれば、右規定をもって単一に一般的抽象的な要望を示した訓示規定と解することはできず、被告の主張は採用できない。

(二) 都道府県警察の管理及び運営は都道府県が行う事務であり(地方自治法二条六項二号)、その経費も原則として都道府県が負担する(警察法三七条二項)。但し、都道府県警察が国の公安に係る警察運営や国の統轄事項についてもその責務に含めていることから、一定の事項については国庫が支払うものと定められ(同条一項)、本件寄付の対象となったパトカー等の警察用車両については、「警察用車両の購入並びに警察用船舶の購入及び借上並びに武器その他の警察装備品の購入及び維持に必要な経費」として、その購入費用は国庫が支弁し(警察法施行令二条六号)、それを都道府県警察が無償使用するものとされている。

2 ところで、国と地方公共団体との間の財政秩序について、地方財政法四条の五は、国等が地方公共団体やその住民に対して寄付金等を強制的に徴収することを禁じているが、右規定のみでは自発的寄付の形式を取った場合には規制の対象とならないために、さらに地財再建法二四条二項が地方公共団体の立場から国及び公社等に対する自発的な寄付金等も原則として禁止することによって、地方公共団体の国に対する財政自主権の確立を徹底している。

3 以上によれば、都道府県警察の経費については、警察法及び同法の委任を受けた警察法施行令等によって明確に負担区分が定められているのであるから、その運営に当たる都道府県が、他の市町村等の地方公共団体に対して、その経費を負担させた場合には、右地方財政法二八条の二に反することとなる。

他方、このような地方公共団体間の財政秩序の確立を徹底するためには、財政負担区分を他に転嫁させることを禁じるのみでは不十分であり、地方公共団体が他の地方公共団体に対して自発的な寄付等を行うことも禁止しなければならないことは、前記地財再建法二四条二項の立法趣旨からも明らかである。

したがって、本件寄付も、地方財政法二八条の二の趣旨に反する違法な行為と解すべきである。

4(一) 被告は、本件寄付の直接の相手方が馬頭地区安全協会であって、地方公共団体間の寄付ではないと主張する。

しかし、小川町がミニパトカーを栃木県警に寄付しようと申し出たのに対して、同県警がこれを拒否したために安全協会に一旦寄付した上、安全協会から栃木県警に寄付することなった事実は当事者間に争いがなく、成立に争いがない甲第四号証の三及び証人星正夫の証言によれば、本件ミニパトカーは購入のときからパトカーの仕様で発注され、登録は当初から栃木県を所有者、使用者を栃木県警察本部としてなされ、引渡も小川町役場において各駐在所に対してなされたことが認められるのであるから、安全協会への寄付は地方公共団体間の寄付が禁止されているのを潜り抜けるための形式にすぎず、実態は栃木県に寄付されたものというべきである。

(二) また、被告は、本件寄付が小川町の公益上必要なものであり、その金額も僅少なものであるから、そもそも法律違反はないか、あっても違法性が阻却される旨主張する。

なるほど、ミニパトカーによる巡回等が当該地区における防犯・交通安全の保持等に資することは想像するに難くなく、本件ミニパトカーの購入費用が合計二一八万九五二五円で(当事者間に争いがない。)、成立に争いがない乙第一号証によれば、小川町の平成三年度の歳出額は二七億九八八七万五一八四円であることが認められ、右購入費用が歳出額に占める割合は〇・〇七八パーセントにとどまるものである。

しかし、地財再建法二四条二項が国等との関係で地方財政の健全化を図るために、原則として地方公共団体からの寄付を禁止し、一律禁止がかえって右目的を達する上で不合理な結果となる一定の場合には自治大臣の事前の承認を要するものとしたことからすれば、地方公共団体間の寄付についても、寄付を行う地方公共団体の財政負担を実質的に軽減するもので法定の負担区分をみだすものとはいえないような例外的な場合を除いて、原則として禁止されると解するのが相当である。

本件においては、寄付の対象となったミニパトカーが公益上有用なものであることは前述のとおりであるが、これに伴う財政負担は専ら寄付を行った小川町のみにかかっており、右のような例外的な場合には当たらないというべきである。したがって、本件寄付行為が地方財政法に反しないという主張は採用できず、違法性が阻却される事由もないと解される。

三 損害について

本件ミニパトカーの購入に要した費用が合計二一八万九五二五円であることは当事者間に争いがなく、本件寄付が違法である以上、右ミニパトカー購入のための支出は理由のないものとなるから、小川町は右同額の損害を受けたものというべきである。

四 以上によれば、原告の請求は全て理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用し、主文のとおり判決する。

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